2015年10月1日木曜日

アルパインのボックスアートを担当させていただきました Part3

前回に引き続き、アルパイン(Alpine-Miniatures)の新作フィギュア「16031 Michael Wittmann at Villers-Bocage」のボックスアートを担当させて頂きました。造型は大ベテランのマイク・グッド氏によるものです。
私が担当したアルパインのボックスアートとしてははじめての1/16であり、1/35とは異なった難しさがあったものの、無事に一仕事を終えることができました。


今回のフィギュアは有名なヴィットマンがモデルということもあり、考証面は問題ないかと思われましたが、いざ調べてみると「ヴィットマンの謎のブルーパンツ」に悩まされました。
ヴィレル・ボカージュ戦の時期、「雨の日、ヴィットマンはレザージャケットを羽織り、ブルーの作業用ズボンをはいて作業していた」という従軍記者の証言があります。これを元にドラゴンのボックスアートにはブルーのズボンを着用したヴィットマンが描かれ、モデラーの間にも「ヴィットマンのブルーパンツ」なるイメージが定着したものと思います。
しかし、周知のとおりドイツ軍の戦車兵用ズボンでブルーのものは存在せずヴィットマンの私物ではないかというような憶測もあったようです
私はこの「ヴィットマンの謎のブルーパンツ」は本当かどうか正直なところ訝しく思っていまして、そんな中、ネットで検索をかけているとあるフォーラムで面白い投稿を見かけました。それは記者がヴィットマンんを目撃したのが「雨の日」であった点に注目したものでした。
つまり、元々は黒であったズボンが褪色・変色したところを、雨によって濡れ色になり、結果としてブルーであるように見えたのではないかというものです
同時に、テソン氏に相談したところ、戦争後半からは衣類にデニム生地が使われるようになり、数は少ないものの戦車兵の黒服にもデニム生地が使われたものがあって、しかもその黒には染料としてブルーインクが使われたというのです。また、このデニム生地は褪色が非常に早かったようです。
残念ながら確証が得られるほどの資料はあつまりませんでしたが、「ブルーインクが使われた黒のデニム生地」なるものは発見でき、褪色するとパープルに近いブルーが混じったようなダークグレーになることがわかりました。

最終的にはテソン氏と相談しましたが、私なりの「ヴィットマンの謎のブルーパンツ」に対する答えが今回のボックスアートとなります!



 アルパインのHPはこちら http://www.alpineminiatures.com/index.html
 16031 Michael Wittmann at Villers-Bocage http://www.alpineminiatures.com/imagepages/16031.html

2 件のコメント:

  1. すごい!今やアルパインの看板スターですね!
    そして、いつもながら、素晴らしい作品ですね~。

    今回の「ブルーの作業ズボン」の考察、興味深く読ませてもらいました。
    思わず、大日本絵画の「ヴィットマン」を本棚から引っ張り出して、ダス・シュヴァルツェ・コーアの記事を読み返しました。

    『彼は雨のなか、肩をすくめて小走りにやってきた。・・・』
    『・・・工員が履くような青い薄手のズボン姿。・・・』

    薄手のズボン・・・デニムのズボンだと説得力がありますね。
    勉強になります!

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  2. >happo miyazakiさん
    いつもメッセージありがとうございます!
    私もネット検索からの思いがけない考察だったのですが、なかなか面白いものだったので参考にしてみました。
    戦車兵の黒服といえばウールサージのものが一般的だと思いますが、戦争後半からは夏服用にデニム製のものが登場しており、「数が少ないながらも黒服で同じくデニム製のものがあった」というアドバイスを頂きましたので、ボックスアートへも反映することとしました。

    ボックスアートとしてはやや冒険だったかもしれませんが、テソン氏からも支持を得られましたので、後は皆さまからも支持が得られたら嬉しいかな…とおっかなびっくりなのが正直なところです(ブルーズボンは情報が少なすぎで確定できない難しい問題だと思います)

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